事実実験公正証書とは
公証人が五感の作用により直接見聞した事実を記載した公正証書を「事実実験公正証書」といいます。
事実実験は、裁判所の検証に似たもので、その結果を記載した「事実実験公正証書」は、裁判所が作成する「検証調書」に似たものであり、裁判等に関する証拠を保全する機能を有し、権利に関係のある多種多様な事実を対象とします。
機能
自分や第三者等、個人で作成した証明書は、偽造する恐れがあり、裁判の際に提出しても、証明力が弱いものも多いです。
しかし、事実実験公正証書を作成しておけば、公正証書の原本は、公証役場に保存されるとともに、公務員である公証人によって作成された公文書となります。
そのため、裁判上真正に作成された文書と推定され、高度の証明力を有するので、証拠保全の効果が十分期待できるのです。
具体的活用法
事実実験公正証書は、その使い方は多岐にわたりますが、使い方次第で、裁判を有利にもっていくことも可能です。
具体的には以下の通りです。
例1.特許権者の依頼による事実実験公正証書
特許権者の依頼により、特許権の侵害されている状況を保全するため、その状況を記録した事実実験公正証書を作成します。
例2.相続人の依頼による事実実験公正証書
相続人から、相続財産把握のため被相続人名義の銀行の貸金庫の中身を点検・確認してほしいとの嘱託を受け、貸金庫を開披し、その内容物を点検する事実実験公正証書を作成したりすることがあります。
例3.抽選の公正さの確認のための事実実験公正証書
キャンペーンセールの抽選が適正に行われたことを担保するため、抽選の実施状況を見聞する事実実験公正証書を作成します。
その他、土地の境界争いに関して現場の状況の確認・保存に関する事実実験、株主総会の議事進行状況に関する事実実験など様々なものがあります。事実実験をどのように実施し、どのような内容の公正証書を作成するかは、当該対象物により異なりますので、具体的には専門家と事前に十分打合せをすることが必要です。